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ライブハウス「新宿ROTT」オープン

「SHIBUYA」にバッテンのテープを施すことで「移転」を強調する店頭看板
「SHIBUYA」にバッテンのテープを施すことで「移転」を強調する店頭看板

 

  新型コロナウイルス感染拡大に伴い、二度目の緊急事態宣言が発出された。期間は1月8日から2月7日の1ヶ月間。

 主に飲食店に関する対策が中心とされているものの、音楽文化に対する影響は小さくない。知人のなかにも、新型コロナによって活動の中止や変化を余儀なくされたアカペラアーティストや音楽関係者もたくさんいる。私たちはまだ先の見えないトンネルの途中にいる。

 

  そんな中、明るい話題が舞い込んできた。ライブハウス「新宿ROTT」のオープンである。

 

渋谷からの移転オープン


 

 「新宿ROTT」は渋谷から移転するかたちで2020年12月にオープンした。

 

 渋谷店は2018年2月に老舗ライブハウスグループ”RUIDO”のプロデュース店として開店。以来、アカペラグループやヴォーカルグループ、アコースティックなどを中心に、若手アーティストがステージに立ち、ファンを獲得してきた。また店内にはバーカウンターがあり、筆者も何度か足を運んで、そこに座りながらアカペラ関係者と交流した。かつて文豪や出版関係者が文化を醸成した「文壇バー」が隆盛したが、アカペラにおけるその役目を担うかのような空間であったようにも思う。とにかく「渋谷ROTT」は、アカペラにとって大きな存在感を示すライブハウスであった。

 

 そしてこのほど、新型コロナ感染症対策及び配信設備増強のため、「ROTT」はRUIDOグループから独立オープンを果たした。ステージはこれまでと同様、アカペラグループやヴォーカルグループなどに適したサイズ感。そこには、これからもアカペラを応援していこうという、はっきりとした意図を感じることができる。

 

徹底した感染予防対策と強化された配信設備

店の外に設置された体温計
店の外に設置された体温計
感染予防対策を呼びかける張り紙
感染予防対策を呼びかける張り紙
東京都の感染防止徹底宣言ステッカー
東京都の感染防止徹底宣言ステッカー

 筆者が観客として参加した昨年12月6日のイベント(「ROTT SOUNDS in 新宿ROTT」出演:BloomWorks / SOLZICK / BLACK ON WHITE)は徹底した感染防止対策のもと開催された。入場前の手指消毒や体温測定はもちろん、予約確認による個人情報把握、セルフサービスのドリンク提供などを実施。さらに会場では湿度管理のための加湿器設置、定期的な換気なども行われた。

 

 また他のあらゆるイベントと同様、観客は着席・歓声禁止である。「騒ぐために行く」というライブハウス教育を受けてきた筆者は、この体制に一種のさみしさを感じるかもしれないと覚悟して臨んだが、会場の豪華なライトアップがみごとに補完してくれた。十数個のライトがステージを彩り、出演者の魅力を際立たせた。下記リンクはライトアップの様子がよくわかるデモ演奏である。

 筆者が参加したライブはオンラインで同時配信された。

 カメラは(確認できた範囲で)ステージの左右と後方の合計3台。カメラを強く意識したステージングは、現地観覧する身からしてもなかなか面白かった。これからの時代、あらゆるステージングが、カメラなしには構成できないものになっていくのかもしれない。

 

 筆者の観覧の目的は当初、BloomWorks(関連:KAZZさんインタビュー)とSOLZICKだった。前日に急きょ出演発表されたBLACK ON WHITEは初観覧だったが、配信を意識したステージングがとても魅力的だった。メンバーは「久々の有観客ステージ」と語っていたが、コロナの期間に配信ライブを繰り返してきたからこそ、新たな魅力を発信できている部分もあるのではないかと想像できた。

 

 配信ライブが持つ可能性については多くのメディアで語られているのでここでは詳しくは書かない。が、ただひとつ。「新宿ROTT」は今後まちがいなく、アカペラ・ヴォーカルグループが新たな可能性を拡張していく場として機能していくことだろうと予言してみたい。

 

 「新宿ROTT」は緊急事態下の現在も、配信ライブを中心に精力的に展開中である。ぜひウェブサイトや公式ツイッターなどから情報をキャッチしてみてほしい。

ウェブサイト。アカペラグループの演奏の様子がトップページに表示されている
ウェブサイト。アカペラグループの演奏の様子がトップページに表示されている