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SOLZICK解散について

 ビートアカペラユニットSOLZICKが解散という知らせが届いた。

 はじめに書いておくと、ぼくはけっして「ちゃんとしたファン」とはいえない。ふだんからたくさん言及してきたわけではなかったので、こういうときだけなにかを書くのは、はっきり言って、メンバーご本人にも、ファンの方にも、とても失礼だと思う。それでも、書かざるをえない気持ちなのだ。

 

 SOLZICKを知ったのは2007年、静岡大学の2年生だった頃だ。ぼくがサークルの同期仲間とともに出演した、はじめての大きな舞台である「静岡あかぺら横丁」だった。SOLZICK(当時「Voix Douce」)は、なんと、ぼくのグループの、すぐ次の出演順だったのだ。「あのうわさの多作とかでめっちゃ活躍してるグループだし、なんかめっちゃイケてる雰囲気」ということで、はっきり言って、田舎の大学生はたいへんにビビっていた。しかし、ステージを縦横無尽に動き回る姿と、これまで聴いたこともないかっこいいアカペラを抜群のハーモニーで歌いあげる演奏に、ぼくたちはすぐに虜になってしまった。サークルではその後、Voix Douceの曲をみんなで真似しながら歌うのが、とにかく、とてつもなく流行った。

 翌2008年はHi-Handed Fellowsというグループ名に変わり、あかぺら横丁にゲストで来てくれた。もはやぼくたちのサークルにとって定番となっていたいくつかの楽曲で、ぼくたちの気持ちをとても高揚させてくれた。かれらの演奏は、ぼくたちの青春時代と、切っても切り離せない存在となっていたというわけだ。あれから10年以上経つが、いまサークルの仲間と再開しても、すぐにかれらの曲を歌い出せるはずだ。

 

 ぼくたちと同じように虜になっていったファンが、ほんとうにたくさんいたことを、のちに何度も目の当たりにすることになる。戸塚区のステージを見に行ったときも、ライブハウスを見に行ったときも、必ず、かれらを愛するファンがしっかりと見守っていた。演奏はもちろんかっこいいのだが、それよりも、なんというか、長年のあいだに積み重ねてきたそのファンコミュニティの存在に、ぼくはとても感動していた。ぼくたちのサークルのなかで芽生えていたものが、各所にたくさん存在していたのだ。

 

 18年。とほうもない時間だ。「続けてきたことがすばらしい」などと、評することなどぼくにはできない。JOさんの心境を勝手に推し量って、何か代弁するようなことも、絶対にできない。ぼくにとってそれは、あまりにもおこがましいからだ。18年の重みというのは、そういうものだと思う。そして、こういう感情をこそ、「尊敬」というべきなのだろうとも思う。

 

 でもやっぱり、さいごにひとつだけ。かれらが、18年ものあいだ続けてきたからこそ生まれたコミュニティが、いや、「続けてきたことによってしか生み出せなかったコミュニティ」が確実に存在する、ということだけは、ファンのはしくれのはしくれとして、ここに記しておきたいと思う。

 

 

2021.4.3 SOLZICKをいつも応援してくださる皆様へお知らせ

https://solzick.com/2021/04/03/3017/