「全国ハモネプリーグ大学日本一決定戦2021夏」が8月14日(土)午後9時から放送される。
前回大会に引き続き、「大学対抗戦」がテーマだ。
ハモネプが「大学対抗戦」を行う意義について、過去に当サイトで論じたことがある。筆者はそこで「苦境にもかかわらず、スポットライトが当たりにくい大学生を応援しようとする意図が込められている」と推測した。
コロナ禍において、大学生は登校が許されず、慣れない一人暮らしのなか友人を作る機会も奪われ、さらに「感染拡大の主犯」のような報道がなされるなど、きわめて不当な扱いを受けてきた。
そんな状況下、前回のハモネプは、大学内でのコミュニケーションを作り出すようなルールを設け、大学そのものにスポットライトを当てる演出がなされた。大学生を応援し、背中を押すような態度を、筆者は高く評価した。
一方で今回は、事前放送を見る限り、大学生や大学そのものへのスポットライトが、ほとんど当てられていなかった。
大阪市立大学の合併話や大阪音楽大学についての紹介、琉球大学のアカペラサークルの話が一部あったのみである。前回多用された「母校のプライドを掛けたたたかい」といった表現もなかった。
出場者のキャラクター性にばかり注目しており、大学生を「芸能人化」するような演出(「ミュージックビデオ完成」「ファニコンで舞台裏紹介」など)が目立った。こうした表現は、個人的にはとても残念だった。
大学生は、前回大会が行われた半年前と変わらず、孤独である(参考:コロナ禍の大学生、2年生は孤立しがち 同世代と会えず(朝日新聞デジタル))。出場者のキャラクター性に注目し、「芸能人化」させてしまっては、こうした事実が見えづらくなってしまう。
ちなみに琉球大学「琉球グルーパーズ」のエピソードはかなり良かった。
琉球大学のアカペラサークルは創設から6年目。ほかの大学との頻繁な交流が難しいため情報もほとんど断絶しており、練習方法もわからない。試行錯誤の中で、ハモネプ出場に至ったのだという。演奏もグッと来るものがある。
このように、「物語」とセットでハーモニーを届けられることが、ハモネプの真骨頂であろう。
孤独の中にある「普通の大学生」が、苦境を乗り越え、ハーモニーを作り出すことのすばらしさ。本放送ではこうしたメッセージが発信されることを願っている。
(追記)
「物語」を重要視するとすれば、フジテレビアナウンサーによる「アナペラ」の成長物語が、今大会でもっとも楽しめるコンテンツとなっている。下記のレポートおよび動画は共感できる部分が多く、たいへん面白かった。
『ハモネプ』フジテレビアナがリベンジ!“急成長”遂げ初勝利へ自信(フジテレビュー!!)
(以下引用)
フジテレビでは、8月14日(土)21時から、楽器を使わず声だけで仲間とハーモニーを奏で、アカペラ日本一を競う『全国ハモネプリーグ大学日本一決定戦2021夏』が放送される。今大会は大学生のアカペラグループのみ参加できるが、前回に引き続き今回も、フジテレビアナウンサー・永尾亜子、藤井弘輝、久慈暁子、杉原千尋、藤本万梨乃、堀池亮介、佐久間みなみの「アナペラ」チームが、“ハモネプ21世紀枠”としてふたたび参戦。前大会で最低点を出してしまった雪辱をはたせるか?フジテレビュー!!では、「アナペラ」の事前練習やリハーサルから、本番終了まで帯同し、その様子を前後編に分けてリポート。ここでは、「アナペラ」取材レポートの前編をお届けする。(続き)